目次
この章はGIMPへの画像の取り込み方について述べています。 新しい画像の作り方と、 ファイルから画像を読み込む方法について説明があります。
しかしその前に、 GIMPの一般的な画像構造についてご紹介いたします。
ここでは 画像 のことを単体の表示ウィンドウや JPEG のようなファイルに対応する存在とする考え方で話をすすめます。 ただし本来のGIMPの画像は重なり合ったレイヤーをはじめ、 選択マスクや数層のチャンネル、 パスや作業履歴など、 様々な要素からなるもっと複雑な構造を持っています。 この章ではGIMP画像の構成要素をひとつづつ詳しく見てゆき、 それらをどのように使ったらよいか説明します。
画像の最も基本的な属性は モード です。 扱えるモードはRGB、 グレースケール、 インデックス化カラーの 3 つです。 RGBとは赤・緑・青の頭文字からとられた言葉で、 画像の各点が「赤色」レベル、 「緑色」レベル、 「青色」レベルの 3 つで表せる状態を示しています。 RGB画像は総天然色です。 色素チャンネルの強度はそれぞれが 256 階調で表されています。 カラーモデル に詳しい説明があります。
グレースケール画像ではその各点が明度で表され、 その範囲は 0 (黒) から 255 (白) で中間色はさまざまな濃さの灰色です。
図5.1 RGBとCMYの各カラーモデルの相関図
RGB色モデルでは、 赤・緑・青の混色が白になります。 画面の表示はこれを利用しています。
CMY(K)カラーモデルでは、 シアン、 マゼンタ、 イエローの混色が黒になります。 これはプリンターで白紙に印刷すると起こります。 ただし実際はプリンターには黒インクカートリッジがあって、 経済的かつ美しい仕上りが図られています。
RGB画像とグレースケール画像は概念上その「色チャンネル」の数が違います。 グレースケール画像はひとつだけですが、 RGB画像には 3 つあります。 つまりRGB画像は、 赤・緑・青の各色がついた 3 つのグレースケール画像を重ね合わせたものと考えることができます。
実際にはRGB画像とグレースケール画像のどちらもさらに アルファ チャンネルと呼ばれるチャンネルが 1 つ加わっており、 透明度を表すはたらきがあります。 たとえばあるレイヤーの一部のアルファ値がゼロだと、 このレイヤーのその部分は完全な透明になり、 その下が透けて見えるので背面側のレイヤーの色が表側に出てきます。 アルファ値が最大値 (255) ならばレイヤーは不透明なので透かして見えませんから、 そのレイヤーの色が出ます。 アルファが中間値のところは透明度の違いが現れており、 その部分の色はそのレイヤーと背面側のレイヤーの色の比例配合です。
GIMPでは、それぞれの色チャンネルおよびアルファチャンネルは 0 から 255 の範囲の値をとっています。 これはコンピューター用語で深度 8 ビットといいます。 デジタルカメラの機種によっては色チャンネルが深度 16 ビットのファイルを生成するものもあります。 GIMPでこのようなファイルを読みこんだときは解像度が落とされます。 その場合の影響は人間の眼にはかなり微妙な違いにしか見えませんが、 場合によりとくに広い範囲を極めてゆるやかな勾配でかけられたグラデーションの見え方ではその違いがばれるかもしれません。
第 3 の形式は インデックス 化カラー画像です。 このモードは理解するのに少々骨が折れます。 インデックス化カラー画像では、 不連続で大抵 256 色かそれ以下に限定された色数で描かれています。 これらの色は画像の「カラーマップ」を構成しており、 画像の各点の色はすべてカラーマップからとられています。 インデックス化カラー画像は比較的メモリー消費量が少なくてすむというコンピューターにとって有利な点があり、 かつての暗黒時代 (つまり十数年前) はこれがあたりまえでした。 時代は移り、 だんだん使われなくなってきましたが、 まだその重要性はあるとしてGIMPはサポートしています。 (それから、 RGBの連続色画像よりもインデックス化カラー画像のほうが実装しやすい画像処理がほんの数種類あります。)
GIF や PNG などのようないくつかのよく使われるファイル形式では、 GIMPで開いた画像をインデックス化カラー画像にして生成できます。 GIMPのインデックス化カラー画像の処理は大多数のツールがその実力をあまり発揮できませんし、 一部のものは全く作動しません。 使える色数が少ないのが原因です。 ですから、 むしろこういった処理の前に画像をRGBモードに変換しておくのが良策です。 必要に応じて、 ファイルに保存する前にインデックス化カラー画像に変換しなおせばよいでしょう。
GIMPで画像のモードを他のモードに変換するには、 モード 変換コマンドを用いれば簡単です。 もちろんRGBからグレースケールやインデックス化カラー画像へのような一部の変換は、 とり戻すことの不可能な情報の欠損をもたらします。
メニューの
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注記 |
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使おうとしたフィルターがメニューで灰色無効にされているときは、 ほとんどがその画像 (とくにそのレイヤー) に問題があります。 大多数のフィルターはインデックス化カラー画像には適用できません。 RGB画像限定のものや、 グレースケール画像限定のものもあります。 ほかにもアルファチャンネルがあることを前提にしているものや、 逆にアルファチャンネルがあると作動しないものもあります。 ほとんどの問題は画像を別のモード (大抵はRGB) に変換すれば解決します。 |